会長挨拶

平成29/30年度 会長挨拶

化学センサと異分野融合

化学センサ研究会・会長 丹羽 修

(埼玉工業大学 先端化科学研究所 教授)

 

 

 

 今年から、清水会長の後任として化学センサ研究会の会長を務めさせて頂くことになりました。東京オリンピックや新米国新大統領など、世の中の変化のめまぐるしい中、2年間、微力を尽くしたいと思っています。
 さて、本化学センサ研究会がスタートして既に30数年が過ぎております。この間、化学センサ、バイオセンサに関わる要素技術は、電気化学、光学、半導体等の検出に関するもの、有機無機材料からバイオテクノロジー等の材料関連、マイクロ・ナノ技術といったデバイス技術など大きく広がっています。また、関連分野を見てみますと、ビッグデータを利用したセンサ情報の処理技術、センサ情報を取得、流通させるためのIoT技術などの情報関連の技術も益々重要性を増している様に感じます。以上の観点から、本会の継続と更なる発展に向けて、多くの新しいメンバーの参画が必要になっていると思います。
 私自身は、学生の時は、九州大学工学部応用化学科の高柳素夫先生、梶山千里先生の指導の元で、高分子物性、特にイオン分離を行うための高分子/液晶複合膜の研究を行い、NTT研究所では、最初に微細加工のスペシャリストの指導のもと、導電性高分子材料やそのパタニングの研究を行ってきました。センサとは若干異なる分野でしたが、その後、センサデバイスのマイクロ化、微量化の流れの中で、NTT研究所で学んだ微細加工技術を利用して、マイクロ電極、微量バイオセンサの研究分野を開始しました、本会に入会したのは、確か30歳前後でしたが、新鮮さと、今後の研究に参考になる多くの先輩方と出会うことができました。
本会は、電気化学の基礎から応用に関する幅広い知識、ガスセンサなどの分野を中心に酸化物、炭素材料などの材料技術に大きな強みがあると感じます。また、最近では、表面プラズモン共鳴、水晶振動子を用いたバイオセンサなど新しい分野も報告される様になっており、アクティビティは、依然高いと感じています。一方、今後、センサ研究から実用化まで繋げるためには、蛍光・発光プローブなどを創生する有機合成技術、新規な酵素や抗体などを作り出す、生命科学、マイクロ・ナノ化や、有機FETなどの半導体技術、更には情報科学など様々な分野の研究者、技術者との協力が必要と感じております。任期中に研究会などを利用し、様々な分野の方に声をかけて、異分野との交流などを推進できたらと感じております。個人会員、法人会員の皆様のご支援をよろしくお願いいたします。