会長挨拶

2021/2022年度 会長挨拶

『ジャパンオリジナル』の真のセンサ材料の発展を目指して

化学センサ研究会・会長 今中信人

(大阪大学大学院工学研究科・教授)

 

 

 

 私と化学センサ研究会との最初の出会いは、1982年、東京で開催された第2回化学センサ研究発表会(東京大学)であり、考えてみれば化学センサとは大学院生(修士課程1年)になってからの長い付き合い、約40年になる。元来、この分野で活躍されていた清山哲郎教授(九大)、鈴木周一教授(東工大)、塩川二朗教授(私の恩師、阪大)、笛木和雄教授(東大)らが中心となって、設立された「センサ研究懇談会」が元々の始まりであり、この時が最初の懇談会との出会いでもあった。また、翌年「センサ研究懇談会」活動の集大成として化学センサ国際会議(1983年9月,福岡市)が開催された後、現在の化学センサ研究会に拡大改組されてきている。国際会議での化学センサとの出会いと言えば上記の1983年に福岡で開催された記念すべき第1回化学センサ国際会議(IMCS)であり早いもので40年近く前のことである。上述の清山哲郎先生、ならびに先生の研究内容を十分に把握できたのは私の最初の国際会議での口頭発表、この会議であり、この時に私と前後して発表されたのが三浦則雄先生(九州大学名誉教授、化学センサ研究会・元会長)であった。振り返ると、化学センサの黎明期を体験、実感できたことは幸せなことと改めて思う。実は清山哲郎先生との初めての出会いはさらに古く、フロリダ、ウエスト・パームビーチのブレーカーズホテルで開催された第5回国際触媒会議であった。当時、私は中学校2年生、父がスタンフォード大学の客員教授としての留学生活を始める際に同国際会議が開催され、私を含め家族4人で学会会場となった同ホテルに宿泊した際である。つまり清山哲郎先生とのつながりはほぼ半世紀とさらに長い。
 化学センサのパイオニアであるその清山哲郎先生が著書『化学センサ―その基礎と応用』(清山哲郎他編、講談社サイエンティフィク刊)の中のまえがきで『化学センサは工夫好きの日本人に向いている』と紹介されている。もっと工夫を楽しみ、化学センサの『化学』の意味するところを常に認識し、楽しみながら、グローバルな地球環境の保全に貢献できる化学センサ研究会の会長として研究会の一助になれればと思っている。世の中に貢献できる『ジャパンオリジナル』の真のセンサ材料の実現に向けて、改めて、常に化学反応を思い浮かべ、センスを磨きつつ。
 2021年1月より2年間、会長として安全、安心な社会システムの構築ができるよう化学センサ分野を推進し、『ジャパンオリジナル』の真のセンサ材料の発展に貢献できることを切に願っている。