Chemical Sensors
Vol. 40, No.2 (2024)
Abstracts
センサ校正の重要性について
光明理化学工業株式会社
代表取締役
(化学センサ研究会 副会長)
北川 不二男
この度、化学センサ研究会副会長を拝命致しました、光明理化学工業の北川でございます。前回、2019年度より2年間同職を務めさせて頂きましたが、2020年春には新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が発令され、同年夏に開催予定であった東京オリンピックの延期や、第96回化学センサ研究会の中止(Web開催)となった年でございました。それより早4年。今年の夏にはパリオリンピックが開催される年に、再び同職を仰せつかることとなり、身の引き締まる思いでございます。
弊社は1953年より飲酒取締として、飲酒検知管を開発し、1982年には、飲酒運転取締用器材として赤外線式の呼気中アルコール測定器が警視庁により認可され、飲酒事故防止に向けて担って参りました。また産業分野におきましても、1958年に接触燃焼式センサを搭載した測定器を開発し、石油化学工業をはじめとした種々の産業が発展する中で、火災や爆発の防止に貢献して参りました。
これら測定器には、測定の精度や信頼性が重要となります。その維持のために、センサの校正が重要となります。センサは使用や環境条件の変化により、時間と共に測定値がずれてくることがあります。校正を定期的に行うことで、このような誤差を最小限に抑え、測定精度を維持することができます。信頼性の高いデータを得るためには、センサ出力が正確であることが不可欠であり、校正は、センサが正確なデータを提供することを保証する重要な手段となりますし、法規制を順守させる適切なデータを提供することができます。
2023年12月より道路交通法施行規則が改正され、「白ナンバーの乗用車5台以上、または乗車定員が11人以上の自動車を1台使用する事業所」の安全運転管理者の業務として、新たにアルコールチェック業務が追加されました。この「改正道路交通法施行規則」には「アルコール検知器を常時有効に保持すること」と定められており、その性能や信頼性を維持するためにも、センサの校正は極めて重要です。
センサの校正は安全性の向上にも繋がります。例えばガス漏れ検知センサや火災警報センサなどの安全装置において、正確な測定は安全性に直結します。校正を行うことで、誤検知や見逃しを防ぎ、事故や災害のリスクを低減できます。また医療機器や環境モニタリング機器など、迅速な対応が必要な場合、正確なデータは極めて重要になります。校正済みのセンサにより、必要な情報を適時に提供することができます。
センサの校正は、精度、信頼性、安全性の他、産業プロセスにおいては、プロセスの最適化や効率的な運用とリソースの最適化を支援し、生産性を向上させることで、コストの効率化を図れることや、品質管理の向上にも不可欠であります。
最後に、皆様とともに、当会の更なる発展を目指して微力ながら精励して参りますので、2年間宜しくお願い申し上げます。
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マイクロ流路を駆使した迅速センサ技術と社会実装に向けた展開
渕脇 雄介
国立研究開発法人産業技術総合研究所・健康医工学研究部門
〒761-0301 香川県高松市林町2217-14
Development of Rapid Sensor Technology Using Microfluidics and
Its Potential for Societal Implementation
Yusuke FUCHIWAKI
Health and Medical Research Institute, National Institute of Advanced Industrial
Science and Technology (AIST)
2217-14 Hayashi-cho, Takamatsu-shi, Kagawa 761-0301, Japan
Microfluidic rapid sensing technology addresses the limitations of traditional sensing methods, which require large equipment and are time-consuming. This innovation is gaining attention in biomedical and environmental monitoring fields. In medical diagnostics, ultra-fast PCR technology proved its efficacy during the COVID-19 pandemic, completing 40 cycles in just five minutes and enabling rapid anthrax detection. Additionally, Smart ELISA combines the high detection performance of ELISA with the simplicity of immunochromatographic methods, completing tests within 5 to 20 minutes. It has shown high performance in detecting SARS-CoV-2 neutralizing antibodies and food allergens. Industrial applications must meet regulatory "analytical validity" and gain approval from the Ministry of Health, Labour and Welfare. In the realm of industrial applications, it's imperative to foster collaboration with industry partners to effectively implement these technologies.
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MEMSヒータを用いた各種水素センサの開発
宮崎 洋
新コスモス電機株式会社 技術開発本部センサ開発部
〒532-0036 大阪府大阪市淀川区三津屋中2-5-4
Development of Different Types of Hydrogen Sensors Using MEMS Micro Heater Elements
Hiroshi MIYAZAKI
NEW COSMOS ELECTRIC CO., LTD.
2-5-4 Mitsuyanaka, Yodogawa-ku, Osaka, 532-0036, Japan
Advanced hydrogen safety technology is essential for the realization of a hydrogen energy society. In this context, the role of hydrogen sensors is very important. Therefore, we have been developing the different types of hydrogen sensors using a MEMS (Micro Electro Mechanical Systems) micro heater. Miniaturized sensors exhibit reduced power consumption and thus can be operated with a battery. As a result, we believe that they could be used in new applications and enable the safe use of hydrogen.
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