Chemical Sensors
Vol. 39, No.3 (2023)

 

Abstracts



巻頭言

世界中からガス事故をなくす

新コスモス電機株式会社
取締役常務執行役員
技術開発本部長
 (化学センサ研究会 副会長)

西上 佳典

このたび、化学センサ研究会の副会長を拝命いたしました、新コスモス電機の西上と申します。副会長という重責に身が引き締まる思いですが、皆様のご指導ご鞭撻を賜りながら、本研究会がさらなる進化と成長を遂げるために、微力ながら取り組んでまいりたいと思います。ぜひとも新たなアイデアや技術の発展とともに、会員の皆様が情報共有することで、共に成長できる会となるよう尽力してまいります。
 私は入社してからセンサ開発に従事しておりましたが、センサそのものの開発というよりも駆動温度や間歇駆動などの制御関係の開発をしておりました。近年さまざまな技術の発展に伴い、センサの制御関係においてもメモリによる傾向分析や温度変化中の出力変化、さらには複数センサを用いたAI分析など、まだまだ発展し進化していくものと思われます。このような観点からの本研究会に対する期待も大きく、日本の化学センサ技術で世界に貢献できればと思います
。  ガスセンサは家庭から産業用途まで幅広く活躍しておりますが、最近は特にインフラ設備の劣化対応に貢献できるのではと考えています。日本では、ガス事故による死者も減少し、ほぼゼロになっているのはご存知かと思います。しかしつい最近、フランスのマルセイユやパリ、アメリカのペンシルバニアでガス爆発が発生し死傷者がでるという不幸な事故がありました。こういった事故があると「ガスセンサが設置されていれば」や「ガス警報器が普及していれば」と考えてしまいます。まさに日本のガスセンサ技術を世界に発信し、今回巻頭言のタイトルにもさせていただいたように「世界中からガス事故をなくす」ことが私どもの役割だと感じており、当社の使命として掲げております。
 一方で、ガスセンサ技術には、将来様々な分野において重要な役割を果たすことが期待されています。
 まずひとつめは環境モニタリングです。大気中のガス濃度を監視することで環境の健全性の評価をしたり、汚染物質を検知したりすることで空気質や安全性をモニタリングすることができます。無線などの技術とともにスマートシティの基盤となると考えられます。
 またふたつめとしてヘルスケアの分野でも期待されています。呼気などヒトから出るガスを分析することで、健康状態を把握することが期待されています。さらにはAI分析も取り入れたガスの検出とモニタリングを確立させることで、故障予知や様々な分野での安全性を高めるために活用できるかもしれません。
 さて、来年2024年1月26日(金)に第102回化学センサ研究会が開催されますが、今回の世話役を担当させていただくことになりました。開催場所は新大阪駅からすぐの研修センターとなっております。不慣れなところもございますが、どうぞよろしくお願いします。

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トピックス

光超音波イメージング装置の開発

浅尾 恭史

株式会社Luxonus
〒212-0032 神奈川県川崎市幸区新川崎7-7 AIRBIC A22

Development of Photoacoustic Imaging Scanner

Yasufumi ASAO

Luxonus Inc.
AIRBIC A22, 7-7, Shinkawasaki, Saiwai-ku, Kawasaki, Kanagawa 212-0032, Japan

The principle and application of photoacoustic imaging scanner systems are reported in this article. The photoacoustic effect is a principle that sound is generated when light is irradiated onto an optical absorber, which itself is simple and has been known for a long time, but its application to biological imaging has a short history. This paper outlines a system that can obtain high image quality and introduces an example of a biological application using a photoacoustic imaging system with a hemispherical detector array, which was approved as a medical device for the first time in Japan.

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オキシアパタイト型ランタンシリケート固体電解質薄膜を用いた
限界電流検出型酸素センサの開発

松尾 陽樹1, 相馬 健太郎1, 井手 慎吾1, 島ノ江 憲剛2

1三井金属鉱業株式会社
〒362-0021 埼玉県上尾市原市1333-2
2九州大学大学院総合理工学研究院 物質科学部門
〒816-8580 福岡県春日市春日公園 6-1

Development of Oxyapatite Type Lanthanum Silicate Thin Film Based
Limiting Current Oxygen Sensor

Haruki MATSUO1, Kentaro SOMA1, Shingo IDE1, Kengo SHIMANOE2

1 Mitsui Mining & Smelting Co. Ltd.
1333-2 Haraichi, Ageo, Saitama 362-0021, Japan
2 Department of Advanced Materials Science and Engineering,
Faculty of Engineering Sciences, Kyushu University
6-1 Kasuga-koen, Kasuga, Fukuoka 816-8580, Japan

A downsized gas sensor with high stability and low power consumption is essential for IoT applications. While solid electrolyte-based gas sensors are known for their high reliability, they typically operate at high temperatures. In this paper, we propose the design of the solid electrolyte thin film based limiting current oxygen sensor. The sensor consists of a Y-substituted lanthanum silicate thin film and a porous electrode thin film created through the sputtering process. By utilizing fine pores in the porous electrode and a patterned dense electrolyte thin film layer, the sensor exhibits Knudsen diffusion type limiting current behavior across wide range of oxygen concentrations, reaching up to 99.5%. This behavior is attributed to the restriction of oxygen transportation within the fine pores of the porous electrode and the patterned dense electrolyte thin film layer.

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