Chemical Sensors
Vol. 39, No.1 (2023)
Abstracts
化学センサ40年と次世代への期待
化学センサ研究会 会長
九州工業大学 大学院工学研究院
教授
清 水 陽 一
この度、化学センサ研究会の会長を拝命することとなりました。身に余る大役ですが、本化学センサ研究会事務局での経験も踏まえて、本会活性化のために尽力したいと思いますので宜しくお願い申し上げます。
さて、私が化学センサというものに遭遇したのは、修士1年の1983年9月に九州大学・清山哲郎先生らが第1回化学センサ国際会議(IMCS)を福岡で開催された時で、私は微力ながらお手伝いができました。主に写真館等への外回りで、講演会場は見れなかったですが、バンケットには運よく参会を許され、重鎮先生方にお会いできたこと、学生ながら国際会議の雰囲気を体感できたことは、後々貴重な経験となりました。
私の化学センサ研究は、1986年に九州大学・山添 曻先生・三浦則雄先生のもとで助手になって、環境系ガスセンサを立ち上げたのが最初で、固体電解質式のNOxセンサをIMCSのプロシーディングスを参考にオキソ酸/イオン導電体型センサから始めました。NOxなのでオキソ酸にはNaNO3、固体電解質にはNaイオン導電体のベータアルミナを用いましたが、どの様に硝酸塩を付けるかが課題でした。結局、溶融融着とし、融点を下げるためにNaNO3とBa(NO3)2を混ぜたのが、後の高性能な2元系オキソ酸補助相の始まりで、同様な手法でかなり良いCO2センサデバイスを偶然構築できたのですが、オキソ酸塩類が、常温・高湿度での安定性が乏しいため実用化にはもう一歩至りませんでした。現在、コロナ禍でIR式CO2センサが爆発的に普及したのを見ると、もうひと粘り工夫ができたのではないかという思いです。このように1990年代後半は、環境系センサ等でも本研究会は活発であったと思います。また、並行してバイオセンサの大きな進歩、近年ではヘルスケアセンサへのニーズと用途は拡大しましたが、現在は、ウイルス検知などが求められ、化学センサには、次への大変革が期待されていると思います。
そこで今後は、手法では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り込み、目的では、医療、健康、安心・安全とGX(グリーントランスフォーメーション)、材料では、新規検知材料の構築と超小型化が重要ポイントになると思います。究極には、高性能なガスクロ・液クロ・SPRにとって代わる超高性能なマイクロセンサが次のターゲットとなると思います。
さて、1981年10月に第1回化学センサ研究発表会が東大で開催されて2023年の春で72回、42年目になります。この間、半導体式、接触燃焼式、湿度、空燃比、排ガス検知用のセンサ、ISFET、血糖値センサなど多くの化学センサが開発・実用化されました。1980年初頭を日本における化学センサ具現化の黎明期とすると、次の10年で半世紀となります。40年前は解決できなかったGX関連センサも、この40年間に進化した新材料・新技術の登場で可能となると信じます。
最後に、2023年1月の第100回化学センサ研究会総会で申し上げましたように、本研究会が積極的に若手研究者を育成し、海外研究者との交流や、新規分野や異分野との連携も拡大させて、日本の化学センサ技術をさらに発展させることで人類に貢献できればと願います。
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酸化スズナノシート樹枝状構造膜の液相合成と
ストレスケア向けガスセンサへの応用
増田 佳丈、崔 弼圭
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 極限機能材料研究部門
〒463-8560 愛知県名古屋市守山区桜坂四丁目205番地
Liquid Phase Synthesis of SnO2 Nanosheet Dendritic Structure Film and Its Application to Stress Care Gas Sensor
Yoshitake MASUDA, Pil Gyu CHOI
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST),
Innovative Functional Materials Research Institute (IFMRI)
205, Sakurazaka 4-chome, Moriyama-ku, Nagoya 463-8560, Japan
Monitoring of health conditions using exhaled breath and skin gas is expected in the fields of health care and medical care. There is also strong demand for detecting and controlling odors in mobility and living spaces. In recent years, the synthesis of metal oxides under ordinary temperature, normal pressure, and aqueous solution environments has been realized. Various unique nanostructures have been developed by controlling crystal growth. In addition, gas sensors have been developed using them, and their gas sensing properties have been discussed. For instance, detection of 200 ppb of acetone and stress marker gas (allyl mercaptan) were realized using SnO2 nanosheet dendritic structure films. In this study, we introduce the formation of SnO2 nanosheet dendritic structure films for gas sensor applications.
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バイポーラ電極を用いる電気化学バイオイメージング
井上(安田) 久美
山梨大学大学院総合研究部工学域 基礎教育センター
〒400-8511 山梨県甲府市武田4-3-11
Electrochemical Bioimaging Using Bipolar Electrodes
Kumi Y. INOUE
Center for Basic Education, Faculty of Engineering,
Graduate Faculty of Interdisciplinary Research, University of Yamanashi
4-3-11, Takeda, Kofu, Yamanashi 400-8511, Japan
This article reviews researches for bipolar electrochemical microscopy for bioimaging. Bipolar electrochemical microscopy is expected to use for bioimaging with high resolution, high speed and minimal invasion from its nature of being able to operate without wiring to each electrode for input and output. Currently, one of the major challenges in developing bipolar electrochemical microscopes is the fabrication of high-density closed bipolar electrode (cBPE) arrays. In this review, I introduce our investigation of high-density cBPE array fabrication methods as well as researches on the use of cathodic luminophores for dopamine imaging. This novel and unique imaging method will be used for study of elucidation of life phenomena including intercellular substance transfer in multicellular organisms.
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