Chemical Sensors
Vol. 38, No.2 (2022)

 

Abstracts



巻頭言

人と社会を守るセンサ技術

矢崎エナジーシステム株式会社
ガス機器事業部執行役員 ガス機器事業部長
(化学センサ研究会 副会長)

寺 澤  敦 志

この度、化学センサ研究会副会長を拝命致しました矢崎エナジーシステムの寺澤でございます。身に余る大役でありますが責務をしっかりと果たし、本学会の運営の一助となりますように誠心誠意務めさせて頂きますので、何卒ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。
 弊社は、矢崎グループが2012年に自動車部品メーカーとしての矢崎総業株式会社と自社ブランド品のメーカーとしての矢崎エナジーシステム株式会社に分社化を致し設立され、今年で10年目を迎えます。弊社はガス機器、電線、空調機器、デジタルタコグラフやタクシーメーター等の車載器の4部門を中心に皆様の生活にも密接に関わる製品、そして暮らしと社会をつなぐ製品の開発、製造、販売の事業展開を致しております。矢崎エナジーシステム株式会社の設立からは10年と年数は浅いものの、本研究会と関連するガス機器部門においては、矢崎計器株式会社時代の1971年にLPガス警報器を発売する際の製品開発と同時にガスセンサ開発にも取り組み始めました。弊社では、内製のガスセンサとして接触燃焼式センサを製造しており、LPガス警報器、都市ガス警報器、給湯器用CO検知ユニットなどの製品を製造・販売しております。また電気化学式センサや限界電流式センサを活用した製品も含め、社会に貢献できる機器開発をこれからも積極的に取り組んで参ります。
 近年、皆様も感じておられると思いますが、私たちを取り巻く社会環境は劇的に変化していると考えています。「感染」「侵攻」「紛争」「混乱」といったキーワードが連日報道され、社会全体が不安と憂いに満ちた日々に苛まれています。2019年に発生した新型コロナウイルス感染症により生活様式は一変し、海外への移動はおろか、離れて暮らす家族に会うことすらままならなくなり、現在に至っては海外で生産されている電子部品の欠品で様々な業界が混乱しています。そしてその感染拡大の出口も見えぬ中、2022年2月に勃発したウクライナ侵攻によって国際的な対立構造や経済危機、エネルギー問題が深刻化しています。5年前には想像すらしなかった状況が私たちを取り巻き、人々の健康、世界の平和が一瞬にして奪われる事態を目の当たりにしているのです。
 そんな中、不可視な脅威から私たちを守ってきたものこそが多様なセンシング技術です。換気の指数となるCO2モニター、血中酸素濃度を計測するパルスオキシメーター、感染の有無を即座に判断する抗原検査キットなどは私たちにとってすっかり身近なものとなりました。いつどこで誰がどのような脅威にさらされるかも分からない中、センシング技術の向上こそが命と平和をつなぐカギになると信じ、私たちは絶え間ない研究開発を進めて参ります。
先の情勢変化に連動した影響として、物資不足の問題も深刻化しています。生産や輸送への影響が拡大し、あらゆる部品や材料が入手困難となったことで、私たち企業や研究機関の方々も大きな打撃を受け、確立された設計や成熟した技術であっても、場合によっては、大幅な見直しも必要になるかと考えています。このような難局を乗り越える為には、同じ目的を持つ仲間が集い、情報や技術を共有できる本研究会のような交流の場が大切であると考えています。
 研究活動の歩みを止めず継続してくためには、技術者同士が今まで以上に強固な連携を図ることが必要です。また、先に申し上げた通り、時世の鎮静化を図る上でセンシング技術の向上は不可欠であり、本研究会の果たす役割はますます大きなものになると言えます。是非とも皆様と共に化学センサ研究会の活動を強く推し進めて参りたいと思います。

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トピックス

機能性セラミックスのガス検知機能最適化による高感度ガスセンサの開発

上田 太郎

長崎大学大学院工学研究科
〒852-8521 長崎市文教町1-14

Development of Sensitive Gas Sensors
by Optimization of Functional Ceramics for Gas Detection

Taro UEDA

Graduate School of Engineering, Nagasaki University
1-14, Bunkyo-machi, Nagasaki 852-8521, Japan

This article reviews our recent progress in developing solid electrolyte-type and semiconductor gas sensors. We found the following sensor materials and sening technique for sensitive gas detection of the solid electrolyte-type gas sensors: 1) selective and sensitive NO2 response of a YSZ-based amperometric gas sensor using La0.8Sr0.2MnO3 sensing electrode (SE), 2) improvement in toluene response of YSZ-based potentiometric sensors by an addition of CeO2 to Au SE due to an increase in the electrochemical activity of toluene oxidation, 3) large CO response to a positive direction at 30°C of NASICON (Na3Zr2Si2PO12)-based potentiometric gas sensors using Bi2O3-added Pt SE showed as well as that to a negative derection of the sensor using CeO2-added Pt SE. We also improved the sensing properties of NO2, methyl mercaptan, and acetone of the semiconductor gas sensors by introducing porous (pr-) structure into Au-added In2O3, Ru-loaded WO3, and Au-CuO added SnO2, respectively, by fully utilizing the improved gas diffusivity and dispersion of additive/doped materials.

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分子認識機能材料の創生とマイクロ空間に
おける微小化学・バイオセンシング応用

上野 祐子

中央大学大学院理工学研究科応用化学専攻
〒112-8551 東京都文京区春日1-13-27

Creation of Molecular Recognition Functional Materials
and Their Application to Micro Chemical Sensors

Yuko UENO
Applied Chemistry Course, Graduate School of Science and Engineering, Chuo University
1-13-27, Kasuga, Bunkyo, Tokyo 112-8551, Japan

Here we review our achievements on micro bio and chemical sensors that we have originally developed by creating molecular recognition functional materials and integrating them into microdevices. The first theme is a portable environmental gas sensor which uses mesoporous silicate as a gas adsorbate having high benzene gas selectivity to toluene. We succeeded in detecting toxic benzene gas at ppm levels in car exhausts which contains interference components. The second theme is an on-chip graphene biosensor to detect biologically important proteins such as cancer markers, by using the surface of single-layer graphene modified with fluorescence-labeled aptamer. We also report on our recent studies on the characteristic properties of monolayer graphene electrodes in electrochemical detection, which depend on the potassium ion concentration in the sample solution.

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