Chemical Sensors
Vol. 36, No.3 (2020)

巻頭言

昨年末に中国武漢で発生し、当初はこれほどの大禍になると予想もしなかった新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)が瞬く間に世界中に広がり、今も多くの罹患者、死者が発生している。ここでは、そのネガティブな面ではなく、この新型コロナウイルスの感染予防対策がもたらした、ポジティブにも感じられる新しい取り組みのスタイル、特に筆者も属する大学の教育研究現場や学会という現場での新しい姿について記したいと思う。
　私の富山大学でもコロナ禍のため、前学期の開始は4月下旬からとなり、オンラインで講義 (Zoom利用)がスタートした。私自身、教科書と資料プリントでの講義から、pptやpdfファイルを作り直して、カメラとマイクを通常OFFにしている学生へ向かっての講義となり、パソコン画面上での図やコメントの書き込みやインターネットも利用して学生が理解できるように努めた。顔の見えないもどかしさがあるが、質問してくれる学生もおり、在宅で良いためか、出席率は昨年より良くなった。またMoodleを活用した毎回のレポート提出も学生たちがついて来てくれ、新しい充実感を味わっている。研究室のゼミはいまだにオンラインだが、県の緊急事態宣言の解除後から、研究室の実験も3密に注意しながら再開し、6月からは1年生を主に教室での対面講義も再開された。
　一方で、海外大学との共同研究相談はこのオンライン化でとても容易になった。また、10月4日からハワイで開催予定であったPRiME2020は完全オンライン開催に変更となり、現地での対面交流の楽しみは減ったが、渡航せずに多くの人々が参加・討論できるメリットも生まれており、今後国際学会を含む国際交流も新しい形がさらに模索されるだろう。
　学会の日ごろの活動でもオンライン化のメリットを感じている。今年1月より電気化学会の「電気化学」誌の編集長を拝命しているが、その編集委員会もこれまですべてZoomで行われていて出席率が大変高い。遠方にいても日頃から委員同士の情報・意見交換が極めて容易になった。本化学センサ研究会の7月16日にオンラインで開かれた役員会も、鈴木会長が多くの皆さんの元気なお顔を見られて良かったとおっしゃられたのは、皆同感であったと思う。これからの新しい姿、在り方がいろいろと見えているように思われる。
　ところで、私は、恩師の薫陶のもとバイオエレクトロニクス研究、特に医療応用に通じる直接電子移動型あるいは間接電子移動型の酵素センサ等の研究に関わってきたが、富山大学に着任してからは、薬の富山、地元の産学連携を意識して、培養細胞や酵素を用いて医薬品やその作用を分析するバイオセンサの研究に主に取り組んでいる。この薬の世界では新薬開発の難しさから、以前よりドラッグリポジショニング研究が盛んになっていたが、今まさに、新型コロナウイルスの治療薬や予防薬の開発のためにインシリコ (スーパーコンピューター上)でのドラッグリポジショニング研究が進み、役立とうとしている。これまで開発されてきた化学センサやバイオセンサも見直しや改良により新しいセンサ、例えばCOVID-19の予防や治療に役立つセンサとして使える可能性も期待できる。新しいスタイルの一環として、化学センサのリポジショニングも考えてみてはどうだろうか。
　最後に一言。電気化学の編集委員会に久々に戻って感じたのは、副編集長、編集幹事を主とする若手の先生方、研究者たちの活躍の姿だった。化学センサ研究会も同じで、編集や運営に携わる若い方々に心から感謝するとともに、新しいスタイルの中でのさらなる活躍を期待している。

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トピックス

Although almost of our somatic cells have the same base sequences, different cell types have different levels of phenotype and gene expression. The factor is in the acquired modification of the gene. The field of studying acquired genetic modification is called epigenetics, and DNA methylation is one of epigenetic modification. DNA methylation is closely associated with regulation of gene expression levels, and aberrant methylation is associated with many diseases. Knowing the DNA methylation status is required for accurate diagnosis and fundamental elucidation of diseases, and many methylation analysis methods have been developed. In this paper, we classify methylation analysis methods by treatment method, and summarize the principles and characteristics of each method.

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The electrical properties of cells (i.e. membrane capacitance and cytoplasm conductivity) have been studied for comprehensive elucidation of the complex electrophysiological states of cells. Electrorotation (ROT) is a unique phenomenon that a rotating electric field induces a torque to rotate cells at the center of the rotating electric field. ROT is one of the non-contact methods for measuring the electrical properties of single cells. Measurements of the rotation rate has revealed the membrane capacitances and cytoplasm conductivities of various types of cells and identified types of cells based on these electric properties. However, conventional electrode designs for ROT have a significant issue in the throughput of ROT measurement of cells in single cell manner. In this article, we have briefly summarized the expansion of cell types subjected to ROT measurement and the development of electrode devices for ROT of multiple cells simultaneously.

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