Chemical Sensors
Vol. 35, No.3 (2019)
Abstracts
多様化するガスセンサ用途における弊社の役割
化学センサ研究会 副会長
株式会社ネモト・センサエンジニアリング 代表取締役社長
菅井 孝
このたび化学センサ研究会の副会長を拝命いたしましたネモト・センサエンジニアリングの菅井でございます。弊社は根本特殊化学100%出資会社で、根本特殊化学のセンサ事業全権を継承して2008年6月に会社分割により誕生しました。小職入社時の根本特殊化学は蛍光体・蓄光体事業が主流の会社ですので、技術陣のほとんどが蛍光体・蓄光体の開発に携わっており、小職のように蛍光体・蓄光体にまったく係わらずに入社以来ガスセンサ開発一筋の技術者は当時としては大変珍しかったかと思います。その関係で社内には同系技術者が少なかったことから化学センサ研究会ではたくさんの技術者と交流を持つことができ、大変お世話になっております。今回副会長として微力ではございますが本会の発展に少しでも貢献できればと思っています。
弊社のセンサ事業は微量の放射性物質 (241-Am)を搭載したイオン化式煙センサの開発が引き金となり始まりましたが、並行してあるお客様から可燃性ガスセンサ開発のお話をいただいたことが化学センサとの出会いになりました。ガスセンサの開発に関して弊社は当時主流の半導体式ではなく接触燃焼式での開発を進め、当時に開発した基礎技術が現在の製品にも受け継がれています。
当時のガスセンサといえば工業用と一般家庭用に完全に分けられていたように思いましたが、現在ではその汎用性の広がりは多方面にわたり、一般家庭用、業務用、工業用の枠組みもあまり明確ではなくなってきているように感じられます。ガスセンサの役割の重要性も以前に比べて数段高まっており、最も重要なポイントはガス検知の正確性、信頼性、寿命、また民生用ではそれに加えて価格が重要視されます。弊社では現在接触燃焼式と電気化学式のセンサを保有していますが、用途とお客様の要望により検知方式を選択しています。接触燃焼式の場合、素子が高温に加熱されていますので可燃性ガス検知はもちろん、弊社センサは燃焼排ガスにさらされる環境にも適応できますのでガス機器の不完全燃焼検知用途にも対応できます。同じ不完全燃焼検知用途でも電気化学の場合常温下での使用が前提になりますが、低濃度を検知できるメリットがありますので一般環境中のCO検知が可能になります。最近ではガスセンサが健康産業用へも広がりを見せていて、同じCOガス検知でも呼気中のCOを選択的に検知して禁煙外来の喫煙者検知に役立つなど、今後のガスセンサ用途開発はさらなる拡大の可能性を秘めていると言えます。
現在弊社ではガス種にもよりますが、オゾン、NO2、HCHOなどではppbオーダーの環境レベルガス濃度検知も可能にしたセンサにも取り組んでおり、更なる用途開発を目指しています。現在お客様からは更なる特殊用途のセンサ要求、また大変過酷な環境下での使用を前提とした要求なども入ってきていますので、弊社で対応可能なガス種であれば鋭意対応していく所存でございます。弊社では現在接触燃焼式と電気化学式の二種類しか保有していませんが、今後VOC計測用のPIDセンサやCO2用のNDIRセンサにもチャレンジし、民生用センサと工業用センサの双方を保有して種々のお客様の要望に対応できるような総合ガスセンサメーカーとしてニッチトップを目指したいと思っています。
今回は弊社の手がけているガスセンサにスポットを当ててお話しましたが、化学センサにはバイオセンサを初めとした大変多くの種類があります。また中国・韓国メーカーが台頭している昨今でのグローバル化が進む中、今後の本研究会のさらなる発展に期待します。
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アニオン導電性ポリマー電解質を利用した電気化学式COセンサ
兵頭 健生、清水 康博
長崎大学大学院工学研究科
〒852-8521 長崎市文教町1-14
Electrochemical CO Sensors Utilizing an Anion-Conductive Polymer Electrolyte
Takeo HYODO and Yasuhiro SHIMIZU
Graduate School of Engineering, Nagasaki University
1-14 Bunkyo-machi, Nagasaki 852-8521, Japan
CO-sensing properties of various electrochemical gas sensors utilizing an anion-conductive polymer electrolyte have been investigated in our research group in just the past decade. The loading of Pd or Pt onto the carbon-black sensing electrode largely enhanced the responses to both CO and H2, but it was insufficient to improve the CO selectivity against H2. On the other hand, the noble-metal loading onto some kinds of oxide electrodes was also quite effective in improving their CO responses. Among them, the optimal Au or Pt loading onto SnO2 as a sensing-electrode material achieved the excellent CO selectivity against H2. Their material-design techniques and the reaction mechanisms on their surface have been demonstrated in this article.
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半導体式ガスセンサとその周辺技術の変遷
栗林 晴美
NISSHAエフアイエス株式会社 技術部 技術一グループ
〒532-0027 大阪市淀川区田川2-4-28
Transition of semiconductor gas sensors and related technologies
Harumi KURIBAYASHI
Nissha FIS, Inc. Gas Sensing Technology Development
2-4-28 Tagawa, Yodogawa-ku, Osaka 532-0027, Japan
The AC powered domestic LP gas alarm is the first application using semiconductor gas sensors, commercialized in the late 1960s. Subsequently, using various innovative gas sensing technologies (i.e. gas element miniaturization, heater operation method, signal processing, etc.) the applications of semiconductor gas sensors have been expanded to various fields such as air purifiers, battery powered CO gas alarms, alcohol checkers, odor monitors, etc. Recently, the combination of high-sensitivity sensor and chromatography technology has achieved a portable gas analyzer for medical fields. In this article, we review the history and explain how semiconductor gas sensors applications have been expanded from the gas leak alarm field to other new application fields.
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