Chemical Sensors
Vol. 31, No.1 (2015)

 

Abstracts



巻頭言

化学センサの出会いとこれから

長崎大学大学院工学研究科 教授

清水 康博

これまでの8年間は化学センサ研究会の庶務幹事を務めていましたが、本年度から2年間、本会会長を務めさせていただくことになりました。会長職の重責を全うできるように、さらに気を引き締めて、本会の発展のために、これまで以上に努力したいと考えています。
  私がこれまで化学センサ関係の研究に携わって来て、あっという間に36年余りが経ってしまいました。大学4年生の研究室配属直後に、故清山哲郎先生から『セラミック湿度センサ』に関する研究テーマを「やってみないか?」と言われ、そのテーマで卒業研究を始めたのがきっかけです。 国内外で既に各種の湿度センサが市販されていましたが、新規の用途拡大を目指した研究・開発も精力的に進められていました。しかし、自分自身、初めは何もわからず、常に壁にぶつかって遅々として研究が進まない状態でした。少ないデータで、自分では筋が通っていると思い込んでいました考察を検討会等で発表すると、「データをして語らしめよ」と、故清山哲郎先生からご指導を受けたことを思い出します。それでも、故荒井弘通先生からのご指導も受けながら、何とか卒業研究を完成させることができました。
  その後、縁あって九州大学での職を得ましたので、九州大学に在職中は、引き続き両先生からのご指導を受けながら『イオン伝導型および電子伝導型湿度センサ』や『燃焼制御用半導体酸素センサ』の研究を、長崎大学に移動後は、ご退職されました江頭 誠先生からのご指導を受けながら、ガスセンサ関係では、『半導体ニオイセンサ』、『半導体ガスセンサのガス検知特性に及ぼすガス反応性と拡散性の評価』、『ダイオード型ガスセンサ』および『熱安定性メソポーラス酸化物半導体を用いたガスセンサ』の研究をそれぞれ行い、さらに最近では『固体電解質を用いた各種ガスセンサの開発』等の新しいテーマの研究も始めています。
  「継続は力なり」の言葉通り、長く続けていると、勘違いかもしれませんが、少しはわかった部分もあるように感じています。でも、残念ながら、センサ素子として商品化された研究成果はありません。しかし、これまでの私どもの研究が、湿度センサや半導体ガスセンサの基礎知見の集積と理論的解釈の深化に、少しでも貢献できていれば嬉しいのですが....。
  今から考えると恥ずかしいことですが、卒業研究テーマの決定の際に、特にこれといった自分自身の強い希望も無く、故清山哲郎先生のご提案で卒業研究テーマが決まりました。その後も化学センサの研究を続けていますので、私自身の研究の大きな柱が、卒業研究テーマの決定時に決まったことになります。そのため、「みちはまよわじ なるにまかせて(黒田如水の句の一部)」の気持ちもあったように思いますが、これからも大学で研究が続けられる環境にいる限り、「我行精進 忍終不悔(『大無量寿経』より)」の信念で、かつ、「データをして語らしめよ」を肝に銘じて、化学センサの研究を続けていきたいと思っています。
  化学センサの研究では、センサの基礎学理の探求・深化に加えて、特にガスセンサの分野では、新しい応用分野への展開を見据えた研究の必要性を強く感じています。ガスセンサでもバイオセンサでも、日本の産学官の現在の研究開発レベルおよび能力の世界的優位性に揺るぎはないとは思っています。でも、他国の研究開発レベルとの差は、確実に詰まってきています。センサの基礎学理の探求・深化や新規な応用展開分野の開拓のためには、専門分野の異なる技術者・研究者間の切磋琢磨や共同研究が必要です。そのためにも、専門分野の異なる方も含めて、多くの技術者・研究者方々の新規入会と化学センサの研究開発への参画、分散化では無く集約化、が必要です。化学センサ研究会が、技術開発・研究開発についての共同研究や討論等の活動の場を、さらに効率的に提供できるようにしたいと思います。
  化学センサ研究会での活動を通して、センサの基礎学理のさらなる探求・深化を達成でき、日本発の新規で優れた検知特性を示すセンサの技術開発や商品開発ができるように、法人会員および個人会員の皆様のご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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トピックス

2次元蛍光測定システムと蛍光測定値の絶対値化

田口 朋之

横河電機株式会社 イノベーション本部 研究・事業開発センター
〒180-8750 東京都武蔵野市中町2-9-32

Development of innovative two-dimensional absolute intensity
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Yokogawa Electric Corporation
Research & Business Development Division
Innovation Headquarters
2-9-32 Nakacho, Musashino-shi, Tokyo 180-8750

Fluorescence measurement of biomolecules is the powerful tool for getting information of many kinds of biological samples and is utilized as the universal tool in this field. We have developed two-dimensional imaging system consisted of a laser light source, a microlens array for generation of a multi-beam laser, and a CCD for real-time detection. Furthermore, we applied this system for the absolute fluorescence intensity measurement. This technology is definitely a step forward for fluorescence measurement. Our measurement system is consisted of elaborate optics and calibration system. Since it has the traceability to the national standard and gives measured value as International Unit [SI, W/m2], repeatability and compatibility are quantitatively guaranteed. This innovative technology is applicable to various measurements of biomolecules.

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分相法ポーラスガラスのセンサーへの応用

長澤 浩

株式会社 環境レジリエンス(横浜国立大学発ベンチャー)
〒240-0067 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-7
横浜国立大学 総合研究棟E206-2

Application to a sensor of
the phase-separated method porous glass

Hiroshi NAGASAWA

Kankyo Resilience Co.,Ltd
79-7 Tokiwadai, Hodogaya-ku, Yokohama 240-0067
(Yokohama National University General Research Bldg. E206-2B)

Phase-separated method porous glass, is a useful material as a platform for detection means. However, this material is difficult because creation techniques, less company to produce, at present has become difficult to obtain. In this paper, we describe the features and technical that we have reached the phase-separated method porous glass. In addition, I will describe the analysis function and sensing applications with of this phase-separated method porous glass.

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