Chemical Sensors
Vol. 30, No.2 (2014)
Abstracts
化学センサ技術の高度化とグローバル展開
新コスモス電機株式会社 代表取締役社長
重盛 徹志
当社は、もともとラジオやテレビなどの音量を調整するボリュームコントロール(可変抵抗器)を製造していました。その製造過程で起こった有機溶剤の付着による失敗をガスセンサの発見に結びつけ、1960年に世界初の家庭用ガス警報器を開発しました。1960年代から70年代にかけて家庭でのガス事故が数多く発生する中で、ガス事業者の皆様と共にガス警報器の普及に努め、家庭のガス事故を大幅に減少させてきました。 工業用の分野でも1960年代の高度成長に続く産業の高度化の中で多種類のガスが使われ、事故も数多く発生しました。事故の未然防止のために工場における可燃性ガス警報器、毒性ガス警報器の設置が法制化され事故も減少しました。携帯用ガス検知器も小型・軽量化が進み作業員一人一人が身につけるタイプの商品も登場しております。当社は「センサテクノロジーで世界からガス事故をなくす」という使命を掲げ、家庭から産業の現場まで人命や財産を守る保安機器を開発・製造する会社として、社会の安全・安心に貢献したいと思っております。しかしながら、減少傾向にあったガス事故も再び上昇傾向にあり、東日本大震災後、安全・安心を重要視する意識がますます高まっております。今後もさらなる警報器の設置の促進、見直しが行なわれ、それに伴い信頼性の向上が要求され、高感度・小型省電力化などセンサ技術の高度化も望まれております。
当社においてもコア技術であるガスセンサの開発においては、高感度、選択性を追求した当社独自の熱線型半導体式センサの中でもニオイセンサ等の超高感度選択性センサや水素センサなどについて、高い評価をいただいております。水素エネルギー社会の構築に向けロードマップ策定が進められるなか、今後の水素エネルギー社会において、水素センサの必要性がますます高まると考えます。また、現在、可燃性ガス検知器の国際標準化の検討が行なわれ、新たに低濃度検知のカテゴリーが設けられる方向で進んでいます。当社としては半導体式センサを活用して世界中へ一層の安全・安心を届けてまいりたいと考えております。ガス警報器・検知器からスタートした当社の安全・安心に係る仕事は、住宅用火災警報器や高感度ニオイセンサを使った電気火災の早期発見、労働環境管理などにも広がっております。さらには、室内の空気の汚れを検知して換気扇の運転を自動でコントロールすることで省エネにつながる換気扇コントローラやポータブル分析装置などガスセンサの応用分野への取り組みも強化しています。
化学センサの活用は、今後もさまざまなニーズが創出されてくるものと考えます。世界に先駆け日本は、総人口に対して65歳以上の高齢者人口が占める割合が21%を超え「超高齢社会」に入り、今後も高齢化率の上昇傾向が続くとみられ、世界に注目されております。医療福祉の質と量を高めることが社会にとって避けられない課題となるなか、「超高齢化」に挑む先進モデルとして日本はその成果を期待されております。そのようななかで、より安全安心な家庭・社会環境づくり、ヘルスケア分野における化学センサの活用、日頃の会員の皆さまのセンサ研究成果を産官学の密接な連携により実用化につなげ、より具体的な形として世界中に届け、日本のセンサ研究開発レベルの高さを製品を通じ世界へアピールすることも、私ども機器製造・販売メーカーとしての役割と考えております。
本年度より副会長に就任させていだくことになり、心より光栄に存じます。今日まで諸先輩が育んでこら れた化学センサ研究会の発展に少しでも寄与できれば幸いであります。
To Japanese Contents / To English Contents
高性能尿糖センサの開発および白金族合金のセンサ利用に関する研究
松本 達
東京農工大学・生物システム応用科学府
NEC グリーンプラットフォーム研究所
〒211-8666 神奈川県川崎市中原区下沼部1753
Development of highly accurate urine glucose sensor for diabetes, and Research of binary alloy metals of
platinum group for transducer materials used to an amperometric biosensor
Toru MATSUMOTO
NEC Green Platform Research Laboratories
1753, Shimonumabe, Nakahara-ku, Kawasaki, Kanagawa 211-8666, Japan
We have developed a highly accurate urine glucose sensor employed with three electrodes and multilayered membranes, and been researching redox characteristics of super refractory binary alloys based on platinum group metals applying for an amperometric biosensor. Characteristics of the urine glucose sensor showed that: unsusceptible to interference species such as ascorbic acid, acetaminophen, and uric acid; long term lifetime stability of 66 days; high measurement accuracy of 0.985 (n=30) to diabetes urine samples. Furthermore, we have achieved a large-scale production of the glucose sensor as improving adhesion strength among the multi-layered membranes. 82 urine glucose sensors fabricated on a single glass wafer showed acceptably low dispersion, relative standard deviation of 42.9% (n=82). Concerning the redox characteristic research of the binary alloys, it was found that a palladium-niobium binary alloy could be used an amperometric biosensor’s transducer material instead of platinum.
To Japanese Contents / To English Contents
Light-Addressable Potentiometric Sensor を応用した化学イメージングシステムの開発
吉信 達夫
東北大学大学院医工学研究科
〒980-8579 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-05
Development of chemical imaging sensor systems
based on the light-addressable potentiometric sensor
Tatsuo YOSHINOBU
Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University
6-6-05, Aza-Aoba, Aramaki, Aoba-ku, Sendai, Miyagi 980-8579
The chemical imaging sensor is a semiconductor-based electrochemical sensor that can visualize the two-dimensional distribution of a chemical species in the sample solution. It is based on the principle of the light-addressable potentiometric sensor (LAPS), in which the variation of the Nernst potential on the sensing surface is read out in the form of a photocurrent induced by illumination. Recent developments of the LAPS-based chemical imaging systems are summarized and discussed in terms of its spatial resolution, precision, measurement speed, miniaturization and application to microfluidics.
To Japanese Contents / To English Contents