Chemical Sensors
Vol. 28, No.2 (2012)
Abstracts
簡易測定
株式会社 ガステック
(化学センサ研究会 副会長)
小口 博史
当社は1970年に創業し,国産で初の検知管に濃度目盛を印刷した「直読式検知管」を開発しました。「化学センサ」の巻頭言ではありますが,検知管もセンサのひとつということで,少し検知管のお話をさせて頂きたいと思います。検知管はご存知のようにガラス管に測定対象ガスと反応して変色を示す検知剤が充填されており,測定対象ガスを含む空気を一定量吸引し,そのときの変色層長から濃度を読み取るものです。検知管の測定値に影響を与える要因には,検知剤に用いる担体の粒度や反応試薬,通気抵抗などがありますが,重要な因子としてガラス管の内径があります。一定量の検知剤をガラス管に充填したとき,ガラス管の内径の差は充填層の長さの差となり,結果として変色層長の差となって現れます。当時の検知管には濃度目盛は印刷されておらず,ガラス管の内径のばらつきに起因する変色層長の差を補正するための紙に印刷された濃度表というものを用いていました。当社が開発した直読式検知管は,濃度表の代わりにガラス管表面に濃度目盛が印刷されており,直接,濃度を読み取ることが可能です。直読式検知管の開発に当たっては内径が均一なガラス管の入手が不可欠でしたが,当時のガラス管はばらつきが大きく,そのままでは用いることができませんでした。そもそもガラス管は外径と肉厚で管理されており,その結果として内径の精度がありました。そこでガラス管の内径を測定する方法を開発し,内径のばらつきを小さな範囲で選別管理することができるようになり,直読式検知管が誕生しました。現在では,かなり内径の均一なガラス管が入手できるようになりましたが,基本的には内径測定と選別を行っています。創業当時,10種類ほどだった検知管も,お客様の要望にお答えしているうちに,現在では500種類に及びます。
一方,当社が化学センサの開発に着手したのは,1972年(昭和47年)の酸素欠乏症等防止規則の施行がきっかけでした。その前年にガルバニ電池式酸素センサの開発に着手し,そのセンサを搭載した酸素濃度計の製品化に成功しました。当時,酸素濃度の測定には検知管や若干の酸素濃度計があったようですが,いずれも実用的でなく,酸素欠乏危険場所で実用に耐えうる酸素センサおよび酸素濃度計の第一号と自負しております。その後,製鉄所の一酸化炭素中毒防止のための連続監視ができる測定器の要求がありました。当時,すでに天然ガス転換に用いる一酸化炭素用の定電位電解式センサを製品化していましたので,これを小型化し,装着型の検知警報器を開発し,ミニモニターというネーミングのもと販売を開始しました。その後継機は現在も多くの製鉄所でご利用いただいています。
当社は創業以来,主に労働環境や大気・室内環境などに存在する気体の簡易測定ということを通して,人の健康や安全を守ることを中心テーマとしてきております。測定の目的によっては高級分析機器を用いた手法が必要な場合もあれば,簡易測定がより適している場合もあります。簡易測定に要望される用途や品種,機能は様々ですが,操作が容易で熟練を要さず,その場ですぐに測定結果がわかり,そして必要な精度・再現性があるという3つの要素が私共のもの造りには不可欠だと考えています。
今後も新たなサンプリング技術やセンシング技術,精度を担保するガスジェネレーション技術の開発を通して,より簡単で,より安全な簡易測定機器を提供して行きたいと考えています。
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ドライプロセスを基盤とするバイオナノ界面の作製評価およびバイオセンサへの応用
六車仁志
芝浦工業大学工学部電子工学科・教授
〒135-8548 東京都江東区豊洲3-7-5
Fabrication and Characterization of Bionanointerface Based on Dry Process and Application for Biosensors
Hitoshi MUGURUMA
Department of Electronic Engineering, Shibaura Institute of Technology,
Toyosu 3-7-5, Koto-ku, Tokyo, 135-8548 Japan
Biosensors are devices that use a biological reaction for detecting target analytes by generating a quantifiable electronic signal. They are powerful tools used in medical diagnostics, food quality control, and environmental monitoring. A typical biosensor is an integrated product incorporating biological elements and transducers. It has been consistently shown that dry process, plasma-polymerized thin films (PPFs), have potential for use as the interface between the two components of biosensors. Since the scale of the interface is often nanometer, it is called as "bionanointerface". To date, transducers have been amenable to miniaturization, and the concept of biochips has concomitantly expanded to encompass interdisciplinary fields such as microchips, arrayed sensors, nanotechnology, chemistry, and materials science. The roles and advantages of plasma-polymerized films in bionanointerface design are highlighted.
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酸化スズ系半導体ガスセンサの基礎および応用技術の研究開発
大西 久男
大阪ガス株式会社 エネルギー技術研究所・マネジャー (副理事)
〒554-0051 大阪市此花区酉島6-19-9
Basic and Applied Research and Development of Tin Oxide-based Semiconductor Gas Sensors
Hisao OHNISHI
Energy Technology Laboratories, OSAKA GAS Co., Ltd.
6-19-9, Torishima, Konohana-ku, Osaka 554-0051, JAPAN
The fundamental sensing mechanism of tin oxide semiconductor gas sensors put to practical use for gas alarms was revealed by the model to clarify the electrical conduction mechanism and the reaction mechanism on the tin oxide surface. By utilizing of this knowledge, we have developed a highly selective methane sensor based on the highly sensitive tin oxide thin film with nano-columnar structure and a selective catalyst layer. By combining the MEMS technology with highly selective methane sensors, ultrashort pulse driving become possible, and a battery-powered micro methane sensor has been developed.