安斉 順一
東北大学大学院薬学研究科
化学センサ研究会の会員数は2007年度会員名簿によれば合計273名に達し、大学等の教育研究機関と企業に所属する会員の比率はおよそ2:1である。さらに、法人会員となっている企業が39社あり、企業等に所属して本会の活動に関係している方の比率は更に高くなる。本会では幸いにも、化学センサ研究発表会の開催や会誌「化学センサ」などを通じてお互いの理解が深まっており喜ばしい限りであるが、互いの組織の内部の様子はなかなか見えにくいのも事実であろう。筆者も本会の企業の方と交流する機会を得てご指導いただいてはいるが、十分に理解しているとは言い難い。一方、昨今の大学や学生をめぐる変化も外部からは(あるいは、内部にいてすらも)見えにくいのではないだろうか。この機会に、やがては企業で活躍する大学院生たちの最近の一面を少し紹介してみたい。
先日、「学生相談・学生サービスの展開を考える研究会」という学内の会合に出席し、特に大学院生の進路やメンタルな問題について学ぶ機会があった。学内での調査結果によると、約75%の大学院生は「この大学は居心地がいい」「大学生活は充実している」と答えている。また、「学生に対する教員の接し方に満足している」という回答も約65%であった。全国的な調査でもほぼ同じような数字である。逆に言えば、25-35%の学生はこれらの設問に「はい」と答えられないのである。その理由は多岐にわたるが共通する因子として、大学院進学の目的の曖昧さ、研究室内の教員や学生との人間関係、などが挙げられた。目的もなく「何となく大学院」に進学してしまう学生、進路が確定できずに「とりあえず大学院」でモラトリアムを求める学生が少なからずいる。修士課程在学時に就職の内定がとれずに止む無く博士課程に進学する例すらもある。また、大学院生は高学年になるにつれて友人関係が希薄化し研究室内だけの限られた人間関係になる、という調査結果も紹介された。さらに、指導教員との関係も微妙で、教員からの研究に対する説明が不十分で納得していない学生、学生の自主性に名を借りた方人、教員から単なる研究戦力と思われているという不信感など、信頼や尊敬に基づく教員との望ましい関係を構築できないケースも少なくない。学生・教員ともに対人スキルが未熟な場合には、一度つまずくと上手に抜け出すことができないケースもある。大学の研究室の密室性(他の研究室のことには口出しできない)もこれらを助長すると言う。心あたることも少なくない。
このような大学生の状況とは一見無関係に、現在、次々と「大学改革」が進行している。旧聞かもしれないが、思い返せば約10年前、大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について−競争的環境の中で個性が輝く大学−」が発表された。以後今日に至るまで、「競争的循環」の整備のために政府は並々ならぬ政策的努力を傾注している。その結果、いろいろな評価装置も稼働するようになり、教育実績や研究成果よりもお金の伴う競争(「競争的資金」などと呼ぶ)に勝ち残ることが美徳であるような状況も一部には生まれている。「競争的循環」の中では評価と選別によって勝者と敗者がでるのは理であり、後者が多数を占めるのも習いであろう。このような環境の中で、学生の学ぶ意欲に応えてその成長を後押しできるような「個性が輝く大学」をどのようにして実現することができるのであろうか。
山中 一司1,2、中曽 教尊2,3、吹浦 健4、沈 東演5
1東北大学 未来化学技術共同研究センター、
2JST-CREST、3凸版印刷竃k大学、4且R武、5Ball Semiconductor inc.
Development of Ball SAW Sensor
Kazushi YAMANAKA1,2, Noritaka NAKASO2,3, Takeshi FUKIURA4, Dongyoun SIM5
New Industry Creation Hatchery Center, Tohoku University, Aoba 6-6-02 Aramaki, Aoba-ku, Sndai 980-8579, Japan
JST-CREST, 4-1-8 Hon-chou, Kawaguchi, Saitama 332-0012, Japan
Toppan Printing Co. Ltd. Sugito-machi, Kitakatsushika-gun Saitama, 345-8508, Japan
Ball semiconductor Inc., Century Parkway, Allen, Texas 75013, U.S.A.