阿波 俊一郎
株式会社山武 マイクロデバイスセンター所長
(化学センサ研究会副会長)
1980年代の後半、雑誌で初めてMEMSという言葉を知り、大きさ100μmのモーターの写真を見たときの衝撃は忘れることがきでない。形はできたが、動作という点ではとても実用になるというレベルのものではなかったのだが、それでもそれまでのメカニカルな世界から言うと革命的な出来事であった。1975年に機械技術者として新製品の開発に携わりだして15年、エレクトロニクスの世界はアナログからデジタルの時代に変わり、回路の集積度も数桁上がり、まるで様相が変わってしまったのと比較し、機械系の技術はそれに比べると大きな変化はなく、これからどうなるのだろうと思っていたところ、機械の世界を根本から変えることができる技術が出てきたと、大きく夢を膨らませた。
それから約20年。MEMSはいろいろなところで注目を集め話題になることも多く、技術もさまざまな進歩をとげ、加工の自由度も飛躍的に大きくはなってきているが、残念ながら実用化という点では当初夢見たところまでは全く行っていない。これはこれまで標準的な加工技術、設計技術がとぼしく、何か新しい製品を開発しようとするほとんどすべてが1から開発をしなければならないため開発期間が長くなり、また半導体の加工技術を流用しているため加工設備が非常に高価で、初期投資がどうしても大きくなってしまうため、その投資に見合ったアプリケーションがなかなか見つからなかったというところが一番大きかったといわれている。その解決策として試作、生産を受け持つファウンダリサービスを行うところが国内でも多く立ち上がってきた。これにより高価な設備導入をしなくても比較的容易にMEMS応用製品の試作、生産が可能になり、MEMS応用製品に取り組みやすい環境ができつつあると思われるが、MEMS技術を応用した製品の設計にはMEMSの加工プロセスの知識と開発する製品の知識の両方を持つ特殊な設計者が必要であり、また本当に差別化された製品を作ろうとするとどうしても加工方法での差別化を目指す必要が出てくる。完全に生産をファウンダリサービスに依存しているとこの差別化部分を外部に頼ることとなってしまい、自社の競争力を上げていくことが困難となる。このためたとえ一部であっても高価な設備導入をして時間をかけて独自のMEMSの加工プロセスを社内で開発しその部分での差別化をはかっていく必要があるということになり、ファウンダリサービスの充実だけでは完全な解決とはなりえないのではないかと思われる。
加工方法の多様化、ファウンダリサービス拡大による設備投資の軽減などMEMSを取り巻く環境は確実に良くなってきているとは言うものの、もうしばらくMEMSが大ブレークするには時間がかかりそうである。
苦戦しているMEMSの世界でセンサは比較的成功を収めている分野であると思われるが、今後のユビキタス時代を考えると小型で大量のセンサが必要となり、MEMS技術を併用したセンサはさらに重要性を増してくる。これまでMEMS技術利用のセンサというと加速度、圧力といった物理センサが主流で化学センサはあまり小型化、集積化というところまで行っていなかったように思われるが、今後は化学センサもMEMS技術の融合が大きな課題となってくるのではないかと考えられる。
Masaki YAMAGUCHI1 and Hiroshi YOSHIDA2
1Department of Material Systems Engineering and Life Science,
Faculty of Engineering, Toyama University
3190 Gofuku,Toyama 930-8555,Japan
2Research & Development Laboratory, Nipro Corporation
3023 Nojicho, Kusatsu 525-0055, Japan
In order to realize a hand-held monitor of the sympathetic nervous system, we fabricated a completely automated analytical system for salivary amylase activity using a dry-chemistry system. This was made possible by the fabrication of a disposable test-strip equipped with built-in collecting and reagent papers and an automatic saliva transfer device. The hand-held monitor enabled a user to automatically measure the salivary amylase activity with high accuracy with an only 30 μl sample of saliva within a minute from collection to completion of the measurement. The salivary amylase activity might be used as a better index for psychological research.
The importance of materials design in semiconductor gas sensors is demonstrated. From a basic point of view, three key factors have been recognized to control the sensitivity of the sensors, i. e., receptor function, transducer function and utility factor. The importance of the last factor is made obvious when one considers that the target gas (reducing gas) reacts with the oxide surface on its way of diffusion into the sensor device. If the rate of reaction is too large compared with the rate of diffusion, the gas molecules can not access the grains located at deep sites, making them unutilized for gas sensing and thus resulting in a loss of sensitivity. For film-type device, high sensitivity would be realized by optimizing higher order structure parameters such as film thickness and pore radius. For this purpose, we have been investigating new ways of processing for sensing materials. A few examples of higher examples of higher order structure controlled devices are demonstrated in this paper.