民生用として広く用いられているSnO2をベースとした半導体ガスセンサとは異なる,水溶液を電解液に用いた湿式型の毒性ガスセンサを産業用ガス検知器として商品化し,企業を起こしたのが30年前弱冠29才の1973年。
一般高圧ガス保安規則の改正により,塩素ガス,硫化水素,シアン化水素,塩化水素,亜硫酸ガスの5種類のセンサの設置が義務付けられたのがきっかけでした。それ以来,それ以外の毒性ガスセンサを含めた需要は日本のみならず,他国に於いても広く化学工業を始めとして各種産業において要求されるようになりました。はじめの10年間くらいは競争相手も少なく「殿様商法」が通用しました。
しかしながらDRAMを中心とした半導体産業が急激に成長するのに伴い状況は一変します。要求される毒性ガスの種類もアルシン・ホスフィン等毒性が非常に強い水素化物から三フッ化窒素といった電気化学的に不活性なガスの検知まで要求されるようになりました。
市場の拡大とともに国内同業者はもとより欧米との開発・販売競争は一段と熾烈をきわめ,アジアを含めて世界中にサービス網を拡充する必要が高まりました。そんな訳でいつの間にか世界規模のビジネスを展開するようになりました。
昨今,大学発ベンチャーの育成が急務との認識が一般に広まりつつあります。1990年代米国では毎年三百〜四百社が大学を母体に誕生し,大学からの技術転移に伴い多大な経済・雇用効果を上げている訳ですが,化学センサの分野に於いても欧米に負けずにそのような起業家がこの研究会から現れてくるのを期待するのは無理な話でしょうか。
もちろんそれには大学側にも「論文だけでなく,研究成果を事業に結びつけるかどうかを評価する雰囲気が強まる」必要があると思われます。企業育成を含めた環境条件は以前とは比較にならない程充分に用意されている訳です。ただ「教授の商法」から脱却し,様々な経営の壁を乗り越え企業を成功に導くには取り組むべき課題はまだまだ山積みしているように見受けられます。
It is crucially important to develop highly stable source of electricity for improving accuracy and reproducibility of output signals of chemical sensors and related devices. Static induction transistor (SIT) is very useful for stabilizing source of electricity for chemical sensors, chromatography, and spectroscopy. The present report describes some practical data wich are stabilized and improved by means of SIT.
Shigeru KUROSAWAa, Hidenobu AIZAWAa,b, Jong-Won PARKa,c
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)a,
1-1 Higashi, Tsukuba, Ibaraki 305-8565, Japan
New Energy and Industrial Technology Development Organizationb,
3-1-1 Higashi-Ikebukuro, Tokyo 170-6028, Japan
The University of Tokyoc, 7-3-1, Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8656,
Japan
Rapid analytical technology has been demanded for accurate and rapid determination
of trace amounts of chemical compounds, such as marker proteins for disease
or endocrine disrupters like dioxin, which might be contained in blood, food
and the environment. Study of immunosensors using the quartz crystal microbalance
(QCM) has recently focused on rapid detection methods for their determination,
and development of reagents and processes. This review article introduces
the detection method principle of QCM-immunosensors developed by AIST and
its application about detection of trace amounts of chemical compounds.