会長挨拶

平成21/22年度 会長挨拶

二十年

化学センサ研究会・会長 水谷文雄

(産業技術総合研究所 ゲノムファクトリー研究部門長)

 

 

 

化学センサ研究会が発足して二十年が過ぎた。 この二十年、研究を楽しんでいるうちにあっという間に過ぎてしまったような気がする。鈴木周一先生の研究室でバイオセンサ研究の手ほどきを受けてから、ようやく独り立ちして、化学増幅型のバイオセンサを発表したのが二十年前、以来、修飾酵素、ポリイオンコンプレックス、ポリシロキサン、そしてまた化学増幅、と二十年間ほとんど同じ装置を使って仕事をしてきた。内山先生が最近の本誌の巻頭言に書いておられるような、「素朴な装置とアイディアの組み合わせによる化学センサ研究」をこれからも、楽しみながら続けていきたいと考えている。

 

一方で、この「楽しみ」を続けることができたのは、化学センサ研究会の諸活動に負うところが多い。化学センサ研究発表会、本会が主催する化学センサ国際会議、東アジア化学センサ国際会議、それに三浦先生の夜の(恐怖の?)独演会のおまけまで付いた夏の化学センサ研究会・・・。文字通り、産学官が融合して言いたいことを言い合う雰囲気により小生自身も活性化され続けた。そして、次もまた会に参加しよう、と続けているうちに二十年が過ぎた、と言っても過言ではない。

 

この度、化学センサ研究会会長を仰せつかった。楽しんでいるうちに、その楽しみの場を育むべき歳になってしまったと言うことであろうが、砂場で遊んでいて気がついたら夕暮れになっていたという若干寂しい気分である。しかし、今まで楽しませて頂いたお礼として、微力ながら、化学センサ研究会の上記の良き雰囲気を維持し、さらに発展させる形で若い世代に伝えていきたいと考えている。皆様のご助力をお願いしたい。

 

さて、件の化学センサ研究会について「研究グループ分布図」を作ってみると、「黎明期」の九州大学での故清山先生のグループによるガスセンサ研究、東京工業大学での鈴木先生のグループによるバイオセンサの研究の影響か、現在でも九州~関西地区でガスセンサ研究が、関西~東北地区でバイオセンサ研究が活発である。さながら銅矛・銅鐸文化圏の分布を見るようで大変興味深い。小生、昨年4月に、つくばを離れて札幌へとやってきた。バイオセンサ屋が一人よたよたとプラキストン線を越えていったと言うだけで、もとより、化学センサ研究分布図を変える程の出来事ではない。が、北海道で初めて夏の化学センサ研究会を開催する運びとなった。多くの方々がご参集され、言いたい放題の集いをエンジョイされることを期待している。