Chemical Sensors
Vol. 32, No.1 (2016)

 

Abstracts



巻頭言

本研究会に感謝の気持ちを込めて

理研計器株式会社 取締役営業本部長
(化学センサ研究会・副会長)

石地 徹

本年度から、化学センサ研究会の副会長を務めさせていただきます。1985年の夏に阿蘇で開催された化学センサ研究会に参加し、深夜までの楽しい会合に魅せられてから30年以上のお付き合いが始まりました。
 大学院修士課程での研究は「液晶の物性」に関するものであり、入社後に隔膜ガルバニ電池(電気化学)式酸素センサの開発を担当した時点から「電気化学」「化学センサ」の勉強を始めました。1988年に埼玉大学での化学センサ研究発表会において「酸性ガスセンサの反応解析」と題した発表が社会人としての初めての学会発表となりました。弊社の出身母体である理化学研究所の電気化学グループ(玉虫伶太先生・高橋勝緒先生)に委託研究生として身をおいた立場でもあり、理化学研究所との先生方とのお付き合いも同時期に始まりました。その後、電気化学の基礎的な反応解析は電気化学会の一般発表に、ガスセンサへの応用は化学センサ研究発表会において発表ということで電気化学会・本研究会を有効活用し、自己研鑽の場とすることができました。
 国際会議においては、2000年の5th.IMCS(スイス・バーゼル)では、1970年に米国で初めて電気化学ガスセンサを製品化したことで有名であるDr.Stetterと直接話をする機会を得て大いに感激しました。2002年の9th.IMCS(米国・ボストン)では基調講演の前夜祭で相澤先生(当時、東京工業大学学長)から「石地さんを日本代表として・・」などと言われ、緊張のあまり一睡もせずに講演を迎えたことも懐かしい思い出であります。もちろん、各地で趣味である写真撮影も楽しむこともできました。国内外の化学センサ研究会に参加することで、センサに関する知識だけでなく、多くの大学・企業の研究者とも気さくに話ができる場を得ることができました。そこから、大学の先生方に学生さんの紹介をお願いすることに繋がりました。20年前からガスセンサに関わる仕事に興味のある学生さんを紹介していただき、これまでに弊社の研究開発・電気設計・生産技術・品質管理・営業技術部門に22名の優秀な人材を確保することができました。学生時代の知識と経験を活かし貴重な戦力に育っております。
 私自身の職務担当は、ここ数年で大きく変化しました。海外などで自己紹介の際に、ECG(イーシージ)はElectro-Chemical Gas Sensorの頭文字なので「電気化学ガスセンサの開発が私の使命です」と言っておりましたが、2年前から技術開発本部から営業本部に移り研究開発業務からは離れました。しかし、営業活動も理論(作戦)を立てて、実験結果(受注)まで繋げるという過程に変わりはなく、研究開発と同様に楽しく毎日を過ごしております。弊社は大学や企業の研究室で使う酸素計(酸素欠乏検知)や有機溶剤測定器、仕事関数測定用の表面分析計も製品群に取り揃えているため学会併設展示会への出展も多く、私も積極的に足を運び各地での先生方との会話を楽しんでいます。
 このように本研究会を自己啓発・実現の場として活用できたことに感謝しつつ、さらに意欲ある学生さんにセンサ研究を継続する道筋をつけることができたことに喜びを感じています。長年の思い出を噛みしめながら、本研究会の副会長職を務めたいと考えております。

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トピックス

テラヘルツ波ケミカル顕微鏡の開発とケミカルセンサへの応用

紀和 利彦

岡山大学・大学院自然科学研究科 生命医用工学専攻
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1

A terahertz chemical microscopy and applications for chemical sensors

Toshihiko KIWA

Graduate school of natural science and technology,
Okayama University
3-1-1 Tsushimanaka, Kitaku, Okayama 700-8530

“Terahertz” entitled for the electromagnetic waves lying in the wavelength range between 3 mm and 30 mm has attracted a lot of researchers and many scientific and/or industrial applications has been proposed and developed. In our group, we have developed a terahertz chemical microscope (TCM) in order to visualize various types of chemical reactions. Here, the detection principle of TCM is described in detail, and demonstrations of TCM operation for pH imaging, immune assay for low-molecule-weight materials, and visualization of catalytic reactions of a platinum film are described.

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拡散反射分光イメージングを利用した生体機能センシング

西舘 泉a、川内 聡子b、佐藤 俊一b、佐藤 学c、相津 佳永d

a東京農工大学・大学院・生物システム応用科学府
〒184-8588 東京都小金井市中町2-24-16
b防衛医科大学校・防衛医学研究センター・情報システム研究部門
〒359-8513 埼玉県所沢市並木3-2
c山形大学・大学院・理工学研究科
〒992-8510 山形県米沢市城南4-3-16
d室蘭工業大学・もの創造系領域
〒050-8585 北海道室蘭市水元町27-1

Sensing of biological functions using diffuse reflectance spectral imaging

Izumi NISHIDATEa, Satoko KAWAUCHIb, Shunichi SATOb, Manabu SATOc, Yoshihisa AIZUd

aTokyo University of Agriculture & Technology
2-24-16, Naka-cho, Koganei, Tokyo 184-8588
bDivision of Biomedical Information Sciences,
National Defense Medical College Research Institute
3-2, Namiki, Tokorozawa, Saitama 359-8513
cGraduate School of Science and Engineering, Yamagata University
4-3-16, Jonan, Yonezawa, Yamagata 992-8510
dCollege of Design and Manufacturing Technology, Muroran Institute of Technology
27-1, Mizumoto-cho, Muroran, Hokkaido 050-8585

Diffuse reflectance spectroscopy (DRS) provides functional and structural information of biological tissue based on optical absorption and scattering properties. DRS can be achieved with simple and low cost instruments, and has been widely employed to in vivo measurements and imaging of biological tissues. In the present article, in vivo evaluations of biological chromophores, hemodynamics and changes in tissue morphology by using the diffuse reflectance spectroscopy are described.

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