Chemical Sensors

Vol. 20, No. 1 (2004)


Abstracts



化学センサ国際会議の成功を祈って

江頭 誠

長崎大学工学部・教授(第10回化学センサ国際会議組織委員長)

Best wishes for Great Success of International Meeting on Chemical Sensors

Makoto EGASHIRA

Nagasaki University

 本年7月、本研究会にとって非常に大きなイベントである第10回化学センサ国際会議がつくばで開催されます。ご承知の通り、本国際会議は、1983年9月、当時九州大学の故清山哲郎先生が化学センサ技術の重要性、国際会議の意義を先見されて、福岡で最初に開催されたのが発端です。その後、ヨーロッパ、北米、アジアの3地区の回り持ちで隔年開催することが定着しているわけですが、日本開催は第4回(1992年)以来12年振りです。このサイクルでいくと、次はさらに12年後、場合によっては18年後になります。その時点では、これまで本研究会を引っ張ってこられた山添先生、山内先生、相澤先生をはじめ、現在50歳以上の大半の方は現役を退かれていることになります。したがって、特に40代、30代の方々には本国際会議に積極的にご参加いただき、この機会に化学センサのパイオニアとしての日本の責任の大きさをご認識いただきたいと強く希望する次第です。
 海外での国際会議に対して、会議運営の在り方で些か不満を抱かれた方も多いかと思います(研究発表自体は世界レベル研究成果の発表ですから問題ないのですが…)。その原因は、十分な運営体制が組織されず、組織委員長を中心とする比較的少人数で運営されてきた点にあるようです。また、直近の2回は、Sensors and Actuators B: Chemical(以下、SNBと略記)の出版元であるElsevierが直接会議運営に参画し、学会・研究者主導とは少し趣が異なってきた感があります。その点、日本で開催される場合は、化学センサ研究会というしっかりした基盤があり、多くの会員の方々の全面的協力が得られるという強みがあります。したがって、今回も従来同様、皆様に一丸となってご尽力いただいておりますので、Elsevierへの協力依頼は一切行っていません。いずれにしても、第10回目という節目に当たり、少し趣が異なった方向に進みつつある化学センサ国際会議を、原点に立ち返って学会・研究者主導の会議に戻し、この分野のリーダーはやはり日本であると世界に再認識させたいものです。 
 もちろん、会議運営だけで日本をリーダーとして認めてくれるわけではありません。この点に関して、少し気になり始めていることを一つ紹介しておきます。昨年4月よりSNBのアジア地区の編集担当を山添先生から引き継いでおりますが、以来本年1月半ばまでで約160件の投稿論文を受理しました。内訳は、中国40%、日本18%、韓国、台湾、インドがともに10%強となっています。日本からの論文には留学生が関係したものも多く、それらを差し引くと韓国、台湾、インド並みです。もちろん論文数だけでは比較できませんが、質的にも立派な論文が多数投稿されています。投稿先はSNBだけではないとの言い訳に対しては、その状況は他の国でも同じであると受け止めるべきでしょう。いずれにしても、中国を筆頭としてアジア諸国の台頭を強く感じている次第です。今や中国が世界の工場であるという産業界の現状が、化学センサ研究分野においても将来的に到来する可能性を否定できません。会員諸氏が世界のリーダーであるとの自負をもたれて独創的研究を鋭意展開され、本研究会が世界の化学センサ頭脳センターとして君臨し続けることを祈念してやみません。




匂いレシピの記録と再生を行うシステム

中本 高道

東京工業大学理工学研究科・助教授 
〒152-8552 東京都目黒区大岡山2-12-1

Odor Recorder for Recording and Reproducing Smell

Takamichi NAKAMOTO

Graduate school of science and engineering, Tokyo Institute of Technology
2-12-1 Ookayama, Meguro-ku, Tokyo 152-8552, Japan

We have developed the odor recorder for recording and reproducing smells based on an active odor sensing system. The system has an internal odor blender and the multiple sensors with partially overlapping specificities. The odor recipe is determined so that the sensor-array output pattern of the blended odor can be equal to that of the target odor using multi-input multi-output feedback control. Once its recipe is determined, the target odor can be reproduced using the odor blender. The odor recorder enabled the reproduction of the typical apple flavor using 8 components. Moreover, the odor with its recipe dynamically changing over a few second was successfully recorded using the odor recorder.





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