Chemical Sensors

Vol. 11, No. 3 (1995)


Abstracts



雑感

塩川 二朗

大阪大学名誉教授

Impressions

Jiro SHIOKAWA

Emeritus Professor of Osaka University

 化学センサ研究会が10周年を迎えられること、慶賀の至りに存じます。
 清山哲郎先生が中心となられ、そのよびかけで、センサ研究懇談会の創立にお手伝いした頃のことをなつかしく思い出しています。
 若い方々のご精進、ご活躍によって、研究懇談会の活動が活発となり、センサ研究会へと発展、それから10年の歳月を重ねたことになります。
 この間、多くのことを学び、多くの人々との交流を得たことは、私にとって大きな財産であると喜んでいます。
 10年の歴史の流れの中から、何を学び、何を語りつぐのか。また、今までの蓄積を、これから繰り広げられる歴史の糧としてどのように活かしていくのか。未来は若い人々の活力によって開かれ、彩られていくと思います。若い世代に期待するところ大であります。
 センサ研究会の今後のご発展を祈念して筆を置きます。




バイオセンサ事始め

鈴木 周一

東京工業大学名誉教授

The Beginning of Biosensor Research

Shuichi SUZUKI

Emeritus Professor of Tokyo Institute of Technology



物理的と化学的

笛木 和雄

東京理科大学教授・東京大学名誉教授

Physical and Chemical Approaches

Kazuo FUEKI

Science University of Tokyo, Emeritus Professor of the University of Tokyo



10周年記念号の発刊にあたって

酒井 義郎

愛媛大学工学部教授

Upon the Publication of the Tenth-Anniversary Issue

Yoshiro SAKAI

Ehime University



1.1 センサ研究懇談会から化学センサ研究会へ

清山 哲郎

九州大学名誉教授

The Inauguration of Japan Association of Chemical Sensors

Tetsuro SEIYAMA

Emeritus Professor of Kyushu University



1.2 化学センサ研究会 10年の歩み

山添  f

九州大学総合理工学研究科

The Activity of Japan Association of Chemical Sensors in the Last Decade

Noboru YAMAZOE

Kyushu University



1.3 化学センサ研究会と国際活動

相澤 益男

東京工業大学生命理工学部

Japan Association of Chemical Sensors and International Cooperation

Masuo AIZAWA

Tokyo Institute of Technology



1.4 我が国における化学センサの展開と化学センサ研究会

山内  繁

国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所

The Development of Sensor Research and Japan Association of Chemical Sensors

Shigeru YAMAUCHI

Research Institute of National Rehabilitation Center for the Disabled



2.1 固体電解質ガスセンサ

足立 吟也・今中 信人

大阪大学大学院工学研究科物質化学専攻

The Development of Sensor Research in the Last Decade-Solid Electrolyte Gas Sensors

Gin-ya ADACHI, Nobuhito IMANAKA

Osaka University



2.2 半導体ガスセンサ分野の研究の動向

江頭  誠

長崎大学工学部

The Development of Sensor Research in the Last Decade-Semiconductor Gas Sensors

Makoto EGASHIRA

Nagasaki University

 九州大学の清山教授らと田口氏がそれぞれ独自に1962年に先駆的研究成果を発表して以来、半導体ガスセンサ分野は順調に発展し、現在では、可燃性ガスの漏洩検知用を中心に世界的に広く実用化されているのは周知のとおりである。また、最近は、検知対象が単に可燃性ガス成分にとどまらず、不完全燃焼時に発生する一酸化炭素、高温燃焼に付随する窒素酸化物、地球環境問題に関連したオゾンやフロン、産業プロセスや家庭内の有害ガス成分、あるいは各種のにおい成分等へ急速に広がってきているところである。
 本稿では、化学センサ研究発表会における研究発表に基づいて、最近10年間の研究開発の動向を整理してみた。化学センサ研究発表会で発表されなかったものもあるので、一部化学センサ国際会議や学術雑誌等も参考にした。なお、化学センサ研究発表会分の本文中での引用は、(12-33)のように開催会と要旨集のページ数を該当個所に括弧書きで示した。世界的な研究の動向については、本誌に毎年掲載されているレビューおよび学会レポートを参照されたい。




2.3 湿度センサ

酒井 義郎

愛媛大学工学部教授

The Development of Sensor Research in the Last Decade-Humidity Sensors

Yoshiro SAKAI

Ehime University

はじめに
 湿度センサに対するニーズは古くからあり、センサ開発の歴史前から、湿度測定技術の改良はずっとなされて来ている。気象観測用の毛髪湿度計に始まり、乾湿球温度計、露点計等々種々の測定法が開発されて来た。
 電気式湿度センサの開発は早くから行われ、1980年までにはほとんどの材料について検討がなされ多くの特許や論文が公表されている。1985年からの10年間の湿度センサの研究を振り返って見ると、それまでに開発されて来た湿度センサを見直し、その欠点を克服するための改良研究が多く見られ、その為には既存の材料に飽き足らず新規の材料の合成が種々試みられた。これと平行して、センサの検知原理の研究も行われている。ここ10年間の研究の動向をまとめるために湿度センサの材料によって項目を大きく分け、更に検知原理によって細かく分類して会員の研究成果を中心に述べてみたいと思う。尚、同一の材料系についてシリーズで論文を出されている場合、紙面の都合で代表的な論文1-2報を引用させていただいた。




2.4 イオンセンサ

遠田 浩司

東京大学大学院理学系研究科化学専攻

The Development of Sensor Research in the Last Decade-Ion Sensors

Koji TOHDA

The University of Tokyo

はじめに
 イオンセンサには、イオン選択性電極(ISE)や化学修飾電極などの電気化学センサ及びオプティカルイオンセンサ(オプトード)と呼ばれる光学的センサーほか多数の種類が含まれる。このうち1966年に提案された液膜ISEに関しては、近年イオノフォアの開発研究が依然として活発に展開されており、また、ISE膜界面の観察が全反射赤外分光法(FTIR-ATR)、X線光電子分光法(XPS)、レーザー光第二高調波発生法(SHG)等の手法を用いてなされ、ISEの電位応答機構に関する知見も集まりつつある。電流検出型のイオンセンサとしては、Langmuir-Blodgett(LB)膜やself-assembly(SAM)膜、脂質二分子(BLM)膜などを用いて、生体膜を模倣したイオンチャンネル型のものが提案されている。
 本稿では、1985年以降からこれまで十年間に発表されたイオンセンサに関する論文と総説を中心に電気化学イオンセンサの基礎及び開発の動向を説明する。Anal. Chem.誌のイオンセンサに関する総説によれば1985年から1993年まで総計1504報の論文が発表されており、これを網羅するのは困難であるので、いずれも著者らの興味を中心に重要と思われるものを取り上げた。それ以外にも多くの重要な研究が発表されていると思われるので、他の総説や著書を参考にしていただければ幸いである。




2.5 バイオセンサ

内山 俊一

埼玉工業大学工学部

The Development of Sensor Research in the Last Decade-Biosensors

Shunichi UCHIYAMA

Saitama Institute of Technology



後記

水谷 文雄

生命工学工業技術研究所

The Editor's Notes

Fumio MIZUTANI

National Institute of Bioscience and Human-Technology

 本年(1995年)1月に開催された第45回化学センサ研究会において、研究会創立10周年を記念して、「化学センサ」誌特集号として10周年記念号を刊行することが決定された。
 本編集委員会では、会長、各幹事委員と相談の上、編集方針を以下のように決めた。
  • 資料として価値の高いものを目指す。発行目標時期は10周年記念行事を予定している9月末とする。
  • 本文を3つに分ける。
     第1章では化学センサ研究懇談会としての発足から化学センサ研究会創立までの「前史」、その後の10年の活動の「本史」を中心とし、さらに今後の活動を述べる。
     第2章では各種化学センサの分野での会員による研究、開発の10年の進展を取りまとめる。
     第3章では資料として化学センサ研究会、化学センサ研究発表会等の記録を掲載する。
     また、巻頭には本研究会の礎を築かれた諸先生から寄稿いただき、さらに付録として法人会員の会社に「わが社の製品10年」の紹介を依頼する。
     何とか目標の時期までに刊行することができたのは、ひとえに、ご多用中にも拘わらず、原稿ご執筆等いただいた諸先生方のご協力の賜であり、深く感謝する次第である。若干、分担執筆による不統一性が気になるところもあろうが、当方の力不足もあり、これには目をつぶらざるを得なかった。しかし、全体として、本会の確たる「10年の歩み」は本号から読みとれるものと信じている。

     10年経ったということは20年、30年へ向けてのスタートの時期と言うことでもある。研究会が着実に発展し、ハードカバー、金文字の「化学センサ研究会○十周年史」が発行されることを夢見つつ…



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