Chemical Sensors

Vol. 6, No. 3 (1990)


Abstracts



化学センサという新語

酒井 義郎

愛媛大学工学部教授

Chemical Sensor As a Newly-Coined Word

Yoshiro SAKAI

Ehime University

 言葉、特に科学用語が世間に正しく理解されているかどうかは、はなはだあやしいことは皆様よく経験しておられるであろう。時には理解どころか皆目わからないという声も聞かされる。
 ところで、何の研究をしているかと人に聞かれたとき、「化学センサ」だと答えると、分かったような、分からないような、あいまいな反応が見られる。多分、センサは知っているが化学がその前につくとどう違うのかなと思っているに違いないと小生は想像する。ほとんどの人はセンサと言えば、物理センサを頭にうかべておられるのではないかと思う。辞典でもセンサと言うと物理センサに関する記述に終始しているのが多い。
 幸にも我国では、化学センサの実例が各家庭にある。それはガス警報器である。残念ながら筆者らが10年有余を費やして、研究して来た湿度センサは、皆の目にふれるところにはそんなにない。日本ではまだよい。英国及びヨーロッパ(英国人は自国をヨーロッパとは区別している)では、研究紹介の後きまって出る質問は、「何のために湿度センサの研究をそんなにやるのか。」。小生答えて、「日本の夏の高温多湿は耐え難いものである。諸工業及びオフィス又は家庭において、エアコンディショニングは必須のものである。」。すると、その中に、日本の夏を経験したことのある人がいると同感の意を表してくれる。ところが一転して冬になると、我国では室内の乾燥し過ぎを気にし、昔は湯気の立つやかん、今は過湿器を使って湿度を上げる工夫をする。こうして湿度センサのニーズを身近に感じるのであるが、ヨーロッパ諸国の気候ではピンとこないらしい。家庭用ガスセンサも又然り。30年前でも英国の多くの家庭で、料理用レンジや給湯器に電熱を使用していた記憶がある。従って、家庭用ガスセンサの需要が、日本とは違うのだと、数年前英国で聞かされたことがある。となると、あちらの化学センサ屋は何を引き合いに出して、一般の人に化学センサを説明しているのか、知りたいような気がする。
 文明開化の時代、維新の若き獅子たちが、西欧に渡って、彼の地の文明を日本に持ち帰り、翻訳して日本に伝えた時、大量の新造語が造り出され、これらの言葉が日本の近代化に果たした功績は大きいと言われる。例えば、時間、空間、原因、結果、感覚、認識、映像、科学、表現等々いずれも当時の新造語であったと言う。化学センサと言う昭和技術革新時代の新造語も、後世の辞典類に正しく記述され、一般に人々に日常的に使われる時代が来ることを期待したい。




マイクロマシン技術によるクラーク型酸素電極の小型化

鈴木 博章

(株)富士通研究所有機材料研究部
〒243-01 神奈川県厚木市森の里若宮10-1

Miniaturization of the Clark-type Oxygen Electrode by Micromachining Technique

Hiroaki SUZUKI

Organic Materials Laboratory, Fujitsu Laboratories Ltd.,
Atsugi, Kanagawa 243-01, Japan

Miniature Clark-type oxygen electrodes were fabricated using anisotropic etching. The electrode characteristics were evaluated by varying the electrode layout. By using a polyelectrolyte and a double-layered gas-permeable membrane, stability in long-term storage and sterilization tolerance were improved to a practical level. The oxygen electrode was used to make several biosensors. To make the oxygen electrode more compatible with the micromachining techniques, a novel miniature oxygen was developed by using anodic bonding technique along with the anisotropic etching.

はじめに
 クラーク型(隔膜型)酸素電極は、医療方面、醗酵工業方面で多く用いられてきた他、バイオセンサ用トランスデューサとしても多くのセンサで使用されてきた。その基本的な構成は、カソード、アノード、電解液、ガス透過性膜、およびこれらを保持する容器からなる。この電極は以下の点を特徴とする。
 最近、特に医療方面、バイオセンサ方面でセンサの微小化・集積化が求められている。微小センサの開発にはこれまでISFETあるいは白金、金、カーボンなどの微小電極アレイが用いられてきた。それは、これらのデバイスが既存の半導体プロセス等により容易に作製できたからである。このような剥き出しの微小電極を用いた小型酸素電極も作られているが、クラーク型小型酸素電極は電解液およびガス透過性膜を必要とするため、半導体プロセスに馴染みにくく小型化が困難で、これまでにも微小化に成功した例は多くない。我々は以下の目標に沿って小型酸素電極の開発を進めてきた。
市販の酸素電極は例えば鉛筆程度の大きさであり、中にはカテーテル型として微小なものも開発されている。しかし、これらは例外なく高価で、とても使い捨てなどできない。以下に我々の小型化の試みについて紹介する。




第3回化学センサ国際会議

江頭  誠(長崎大学工学部)
五百蔵弘典(フィガロリサーチ(株))
荒川  剛(近畿大学九州工学部)
今任 稔彦(九州大学工学部)
勝部 昭明(埼玉大学工学部)

Conference Report. The 3rd International Meeting on Chemical Sensors

Makoto EGASHIRA (Nagasaki University)
Kousuke IHOKURA (Figaro Research Inc.)
Tsuyoshi ARAKAWA (Kinki University in Kyushu)
Toshihiko IMATO (Kyushu University)
Teruaki KATSUBE (Saitama University)



第11回化学センサ研究発表会

(‘90年9月29〜30日 於 千葉大学西千葉キャンパス)

清水 陽一(九州大学総合理工学研究科)
矢吹 聡一(繊維高分子材料研究所)

Conference Report. The 11th Chemical Sensor Symposium

Youichi SHIMIZU (Kyushu University)
Soichi YABUKI (Research Institute for Polymers and Textiles)



第66回触媒討論会・1990年度触媒研究発表会

(‘90年10月2〜5日 於 広島大学千田町キャンパス)

石原 達己

大分大学工学部

Conference Report. The 66th Meeting of Catalysis Society of Japan

Tatsumi ISHIHARA

Oita University


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