Chemical Sensors
Vol. 4, No. 2-4 (1988)
Abstracts
センサ雑感
佐野 俊一
東芝機能部品研究所・所長
電気化学協会の技術専門委員会として1984年8月に設立された化学センサ研究会は本年8月には設立5周年を迎えることになります。この間化学センサ研究会は会員の皆様の活発な活動により大きく発展してきました。昨年9月に、2日間にわたって埼玉大学で開催された第7回化学センサ研究発表会からもその様子がうかがえます。化学センサは物質あるいは物質の化学量の選択的検出、測定を行うものであり、そのニーズは広くかつ大きくなってきています。中でも、環境、安全、医療等のシステムと係わるセンサは社会的にも非常に重要となってきており、極限追及ともいえる高い性能と信頼性が要求されています。これらの要求に応えるセンサデバイスを実現するためには、センシング材料やそのデバイス化技術を一層高度化する必要があります。また、この種のセンサデバイスは必然的に多様な仕様となるため、デバイス構造は可能なかぎり共通にし、センシング材料を促進するという観点からは必要かもしれません。デバイス構造に関しては現在電子デバイスとして進展の著しいLSIに用いられている半導体技術の積極的利用、特にデバイスとしてのトランジスタ、ICの利用と半導体微細加工技術の応用としてのマイクロマシーニングが一つの解となる可能性があります。これらはまた今後の発展が期待されている味覚、嗅覚センサ、あるいはインテリジェント集積化センサ等の開発にとっても有効な手段となる可能性があります。
しかし、化学センサの要はセンシング材料にあるわけで、この材料は無機、有機を問わず、しかも微小な化学量の変化を電気抵抗や誘電率等の電気的特性の変化を利用するため、材料の高純度化、デバイス化プロセスのクリーン化がセンサの高性能化にとって重要になると考えられます。わが国のこれらの技術はいずれも高いレベルにありますから、そういう意味ではこの化学センサ研究会がセンサデバイスの発展に果たす役割は益々大きく、設立10周年を迎える5年後には世界の化学センサ研究会の中心的な学会として益々活発な活動をしていることは間違いないと信じています。
ガスセンサ V-硫酸水素、アンモニア、亜硫酸ガスセンサ-
足立 吟也・青野 宏通・今中 信人
大阪大学工学部
ガスセンサT、Uに引き続き、今回は硫化水素、アンモニア、亜硫酸ガスセンサを取り上げ、1987年以降の動向を概観する。
イオンセンサ
片岡 正光・菅原 正雄・小田嶋和徳・梅澤 喜夫
北海道大学理学部
イオンセンサの1987年〜1988年前半における進歩について、イオン選択性感応素子の開発を含む基礎研究、及びイオン選択性電極(ISE)、化学修飾電極の開発を中心に、各々の研究動向を概観する。
湿度センサ
荒井 弘通(九州大学総合理工)
清水 康博(長崎大学工学部)
はじめに
昨年度に発表された湿度センサに関する論文を、1)高分子湿度センサ、2)多孔質セラミック湿度センサ、および 3)その他に分類し、その内容を概説する。なお、昨年10月にハワイで開催された化学センサシンポジウムのプロシーディングの内容については、本誌の学会レポート[1]を参照していただきたい。
半導体化学センサ
江刺 正喜
東北大学工学部
はじめに
半導体化学センサに関する研究の進展について、3回報告を行ってきた[1][2][3]。
これらの後に発表された関係する研究について、1987年後半と1988年分を紹介する。今までの報告と同様に、半導体を用いた化学センサの中で金属酸化物などの半導体によるものについては、ガスセンサの項を参照願い、ここでは半導体の電解効果を用いたものや、半導体微細加工技術を利用してシリコン基板上に製作したものについて述べる。
2では気体用センサ、3では液体用センサを扱う。
第7回化学センサ研究発表会
(1988年9月25-26日 於 埼玉大学工学部)
清水 康博
長崎大学工学部
第62回触媒討論会
(昭和63年度触媒研究発表会)
(1988年9月29-30日 於 東北大学教養部)
寺岡 靖剛
長崎大学工学部
第196回アメリカ化学会年会
(1988年9月25-30日 ロサンゼルス)
碇山 義人
東京工業大学
第174回米国電気化学会年会
(1988年10月9-14日 於 シカゴ The Palmer House)
三浦 則雄
九州大学総合理工
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